『科学的とはどういう意味か』
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- 2017/10/30(Mon) -
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森博嗣 『科学的とはどういう意味か』(幻冬舎新書)、読了。
このタイトルにあるようなテーマは 特に日本人は真剣に向き合うべきだという問題意識を私は持っているので 期待して買ってきたのですが、なんだかイマイチでした。 まず、文系/理系という括り方の話からスタートするのですが、 そもそも、その着眼点というか問題提起が古い気がします。 今の学問分野の最先端は、文系と理系(個人的には社会科学と人文科学と呼びたい)の ハイブリッドで論じられるようになっていると思います。 というか、昔も、自然科学者は神学者も兼ねていたりして、 最先端の知識人には文系/理系なんていう区別の意識はなかったと思います。 高度成長期以降の受験戦争の時代に生まれた、 非常に現代的で、かつ表面的・形式的な概念だと思います。 そんな形骸的な概念について議論を深めても、 あまり意味がないように思います。 むしろ、著者が途中で述べているように、 科学的な思考が身についていない人は実生活において不利益を被る可能性が高い ということについて、もっと警鐘を鳴らすべきだと思います。 この本で不満に感じたのは、読者層が良く分からないこと。 科学的思考の必要性について意識がある読者にとっては、 本作で述べられた内容はあまりに初歩的というか形式的で得るものが少ないと思いますし、 文系/理系の枠組みにどっぷり浸かっている人は、そもそもこんなタイトルの本に 関心が向かないと思いますし、一体どんな人に本作を読んでもらいたかったのか 狙いが見えてきませんでした。 日本における教育の充実ということを考えるにあたって、 タイトルの問題提起は非常に重要なことだと思いますが、 残念ながら、羊頭狗肉な感じです。
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