『海』
- 2017/10/14(Sat) -
小川洋子 『海』(新潮文庫)、読了。

つかみどころのない短編集です。
架空の楽器が登場したり、いつの時代の話だろう?という感覚になったり、
え、ここで物語を閉じちゃうの?というものがあったり。
でも、小川洋子らしい作品集な気もします。

個人的に気になったのは「バタフライ和文タイプ事務所」。
和文タイプライターという道具の、今から考えるとあまりに非効率というか
逆にその複雑性を仕組化した人の凄さが分かるというか、
この不思議な道具が醸し出す雰囲気は独特です。
その活字を倉庫で管理している男という存在がまた不思議というか不気味で。
作品の世界観が深ーくなっていく舞台装置だなと思いました。

あと、一番好きだったのは「ガイド」。
市内の観光ガイドをするお母さんが率いるツアーに参加することになった息子。
息子であることが周囲にばれてはいけないと気を遣う様子が健気です。
そして、隣に座った初老の男性との交流がはじまり・・・・。
この男性の職業が変わっているのですが、私はあまりそこに意味を見出せませんでした。
男の子の健気さばかりが目について、頑張れよ~と応援したくなる心境です。
そして、この母が案内する町が、拷問室があったり、武器庫があったり、
なんだかオドロオドロシイのが、また男の子の健気さやや母親の愛情と対照的な感じで
印象に残りました。


海 (新潮文庫)海 (新潮文庫)
小川 洋子

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