『何者』
- 2017/10/01(Sun) -
朝井リョウ 『何者』(新潮文庫)、読了。

徳ちゃんのラジオで紹介されて、気になっていた一冊。
直木賞受賞作です。

シューカツを行う大学生たち。
それぞれの人間関係が繋がり、偶然、1つの部屋に集まることになった5人。
お互いのシューカツ能力を高め合うサポートをしながら、
それぞれの就職活動は進んでいく・・・・・。

最初は、単なる大学生の日常を覗いているだけのようで、
メリハリのない話だなぁ・・・・・と感じてしまったのですが、
それぞれのキャラクターが分かって来て、さらにSNSでの発信内容と重ねると
その表と裏が見えてくるようになり、俄然、面白くなってきました。

主人公の拓人は周囲を冷静に観察し分析する知的キャラ。
しかし、本音をあまり表に出さず、笑いをまぶしながら発散することも、
強気に主張することもできない性格。
とにかく分析するのみ。

そんな拓人の目を通して見ると、
同居人の光太郎は道化役を意識的にこなせる実は効率的に実績を残す人間、
理香はプライドが高く自分の地位を上げることに必死な人間、
隆良は自分が頑張っている過程をアピールすることが大好きだけどアウトプットがない人間、
では、瑞月は?

拓人の人物評が冷静で、ある意味残酷で、
「こういう学生たちって、鬱陶しいよねぇ~」という共感の姿勢で読んでしまいます。

しかし、解説にあるように、この小説の魅力というか恐ろしさは、
主人公の立場で感情移入し、安全な場所で傍観していた読者が、
いきなり当事者に変わるところ

まさにここにあると思います。

最後の最後で、主人公に向かってくる刃、
この切れ味は凄まじいです。

そして、世の中を主人公のような目で眺めている(つもりの)自分に
その刃が突き刺さってきます。

さらには、私自身は、自分の中の理香や隆良にも向き合うこととなり、
とにかくお尻の据えどころがなくなってしまうかのような
不安な読後感に包まれてしまいます。

さすがに裏アカウントまでは持っていませんが(苦笑)、
でも、本音とは違う意見を、頭の中でグルグル回したりしています。
笑顔で会話しながら。

人間というのは、本音と建前があって当たり前なのかもしれませんが、
SNSというツールを持ってしまったことで、より本音と建前がくっきりと分かれて意識され、
しかも相互に増幅し合うような時代になってしまったのでしょうね。

このBlogもSNSの端っこにいる存在ですが、
どこまで本音が出てるのでしょうかねぇ・・・・・・という書きぶりが、すでに演出過剰ですね。


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朝井 リョウ

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