『やがてヒトに与えられた時が満ちて・・・・』
- 2017/09/29(Fri) -
池澤夏樹 『やがてヒトに与えられた時が満ちて・・・・』(角川文庫)、通読。

かなり久々な池澤作品。
SF小説ということでしたが、かなり理屈っぽくて、
ところどころ読み飛ばしてしまいました。
うーん、難解。

表題作は、いくつかの章で成り立っているのですが、
大きな舞台としては、地球から逃れてきた人類30万人が
軌道衛星の上に作った住居に暮らしているというもの。
全てがネットワークにより管理され、安全と安心の真っただ中で暮らしています。
そのため、何かに不満を持つこともなければ、
環境を改善しようという気概も起きない人間ばかりが育って・・・・。

今で言うと「AIによる世界の管理」ということになるのでしょうけれど、
ここまで露骨にAIが人間を圧倒する世界はSF的で非現実的な印象を受けますが、
反対に、人間が主体的に動いているように見えて、
実は裏でAIが統制をかけているという状況の方が怖いですね。
現実に、すでにそうなっていそうな気もして・・・・・。

そんな状況に疑問を投げかける「L氏の幽霊」が面白かったです。
天文学者のラグランジュと思われる老人が
この衛星住居の中に現れ、憂鬱な表情で人々の生活を眺めている。
その真意は・・・・。

頭が平和ボケしてしまっている人間に
考える、疑問を持つということをするように働きかける幽霊。
今の時代においても、L氏は憂鬱な顔で眺めそうです。


やがてヒトに与えられた時が満ちて… (角川文庫)やがてヒトに与えられた時が満ちて… (角川文庫)
池澤 夏樹 普後 均

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