『盗作』
- 2017/09/15(Fri) -
飯田譲治、梓河人 『盗作』(講談社文庫)、読了。

作家さんがエッセイの中で紹介していたのだったか、
雑誌や新聞の書評欄に載っていたのだったか、
とにかく、何かで紹介されてて、読みたい本リストに入れた作品。

どんな紹介のされ方をしていたのかスッカリ忘れていたので、
てっきり盗作事件を巡る謎解きミステリーだと思っていたのですが、
そうではなくて、作品が自分に降りてくる、ある種のトランス状態があって、
そこから生まれてきた作品は、果たして創作なのか・・・・という問いをテーマにした
ちょっと哲学的な作品でした。

私自身、芸術作品を生み出すという行為からは縁遠い人間なので、
自分のアウトプットは、基本的に自分の頭の中で論理的に考え出したものです。
ひらめきみたいな瞬間はありますが、
アウトプットが丸ごとどこかから頭の中にやって来るという体験をしたことは
ありません。

なので、この作品で描かれている「降りてくる」という現象が
なんともファンタジーのように思えてなりませんでした。

降りてくる対象である主人公の女性が、
地味で目立たず自己主張もせず想像力もない女性という
芸術家とは対極に居そうなキャラクター設定なことも、
なんだか作り過ぎているように感じられてしまいました。

そんな風に感じているうちに、第2の降臨が起こり、
またまた事件へと繋がっていきます。
しかも、テーマは絵画から音楽へ。
ますます現実味が乏しい展開となっていき・・・・・。

この時点で、読む目的は、一体どうやって話に結論を付けるのだろうかという
その一点のみとなりました。
が、第3の展開は、なんとノーベル賞がらみ。
うーん、とことん飛んでいくなぁ・・・・・という世界観。

で、最後の最後は、ああ、輪廻転生みたいな・・・・・というわけで、
最後までファンタジーだったので、私の好みではありませんでした。
どんな書評を見て、この作品をリストに加えたのか、見当がつきません(苦笑)。

むしろ、私が興味を持ったのは、
盗作問題が起きたときの社会の反応の方。
常に誰かが、社会の憎悪を受ける対象となり、その的が順番に代わっていくだけという
社会の仕組みの方が気になりました。
グッピーのいじめの対象Zとか。

この作品の主題からすると、芸術を生み出すという行為そのものに興味がある人には、
読み応えがあり、また考えさせてくれる作品なのではないかなと思います。


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