『中山間地域は再生するか』
- 2017/09/13(Wed) -
白樫久、今井健、山崎仁助 『中山間地域は再生するか』(アカデミア出版会)、通読。

タイトルから、農業を主軸にした産業復活の事例の話でも読めるのかな?と
勝手に期待して買ってきたのですが、
内容的にもアプローチ的にも、期待していたものとは異なりました。

まず、本作は、あくまで岐阜大学を中心とする岐阜県の高等教育機関による
研究成果の発表であり、ビジネスサイドの思惑とは、違う視点を持っているということ。

そして、研究対象の郡上和良という地域について、
何か突き抜けた1つの重要な要素を追いかけるというよりは、
「集落」「産業」「医療」「行政」というような多面的な観点から、
いわば総花的に考察した結果の報告であり、
正直なところ、面白みに欠けました。

研究成果としては、様々な角度からアプローチするというのは大事なことだと思いますが、
この研究を受けて、中山間地域の再興や政策の見直しに着手しようと思ったら、
もうワンステップ、間に入って翻訳・解釈してくれる人が必要だなという感想です。

「地域のための大学」ということを標榜し、
着手したプロジェクトのようですが、
地域との距離、産業界との距離を縮めるには、
もう少し努力が必要だなと思います。

本作を通して私が思ったのは、
例えば、過疎に悩む農業の町で、農業は大事な産業だから残そう!と
努力を続けることは、果たして意味のあることなのだろうかという疑問です。
本作に登場する人々の生活の様子や、また村の歴史を見ても
生きた行くためには稼がなければならず、
稼ぐためには、人々は、これまでの稼業を捨てて新しい仕事に果敢に取り組むという
柔軟性や積極性を持っているということです。

それは、先進的な産業がある都市部の人にだけ与えられた特権ではなく、
地方においても、その地方なりの新しい産業というものが常に生まれたり
他所からやってきたりするわけで、そのような新しい産業に取り組むために
過去の産業を放棄するという判断も、前向きに受け入れるべきなんだろうなと感じました。

農業は大事、農業はやり甲斐がある、
そういう思いをもって、新規就農者が入って来るなら、大いに支援した方が良いと思いますが、
農業をやっている当事者も将来がないと悲観し、
支援する行政の側も打つ手がなく、本心では新たな産業を生み出したいと思っている状況なら、
過去にこだわらず、新しい道を目指した方がエネルギーは生まれるのではないかと。

ま、一枚岩で動けるわけではないですから、
簡単なことではないというのは分かりますが、無意味に過去を継続させるのは
集落が疲弊していくだけなんだろうなと思いました。


中山間地域は再生するか―郡上和良からの報告と提言 (地域際の書彩)中山間地域は再生するか―郡上和良からの報告と提言 (地域際の書彩)
白樫 久 山崎 仁朗 今井 健

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