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『ニート』
- 2017/09/12(Tue) -
絲山秋子 『ニート』(角川文庫)、読了。

何とも飾り気のないタイトルです(笑)。
その表題作が冒頭に納められていますが、
賞を受賞したばかりで景気の良い作家の女と、
ひきこもりで所持金3000円という状況の男。
引きこもる前に飲み屋で知り合った2人は、
その夜限りの関係のはずが、なぜか時々メールをし合い、
窮状を見かねたというか、受賞で気が大きくなっていた女は
男に資金援助を申し出て・・・・・。

成り上がりとヒモみたいな関係の話で、
正直、私の苦手な人間関係(依存度が相互に強すぎる関係)だったので、
普通なら嫌悪感を抱いてしまいそうなのですが、なぜか本作は読めました。

女が、自分の成り上がり具合や天狗具合、調子に乗ってる具合を
それなりに自覚していたからかもしれません。
そして、男の方も、ちゃんと遠慮というものを知っていたからかもしれません。
そのあたりの匙加減が絶妙でした。

で、この話には続編があり、それも収録されていたのですが、
そちらはイマイチ・・・・・・好みではありませんでした。
数年後に、男が再び現れ、女は同居を提案します。
ルームシェアしている同性の友人が居るのに。
そして、その友人とは喧嘩中で、数か月口をきいていないという状況なのに。
このあたりの常識を超えちゃった感じが、どうにも苦手でした。
結局、依存関係が深まってしまっているだけで、何の解決にもなっていないという。

後半に収録されていた「へたれ」も「愛なんかいらねー」も、
依存関係が深すぎるというか、相手に無防備に踏み込み過ぎるというか、
そのブレーキの利かない感じが、私は嫌悪感を抱いてしまいました。

前半に収められていた「ベル・エポック」が良かったです。
引っ越しというテーマが、背景はどうであれ、吹っ切れた爽快な感じを与えてくれるので。
引っ越し先が三重県というので、ポイントが上がったのかも(笑)。


ニート (角川文庫)ニート (角川文庫)
絲山 秋子

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