『一橋ビジネスレビュー65巻1号』
- 2017/09/01(Fri) -
『一橋ビジネスレビュー65巻1号』

特集は、「ノーベル賞と基礎研究」ということで、
社会科学系の大学から出る本としては何だかピンと来なかったところがあり、
しばらく読まずに放置してました(苦笑)。

長時間の電車移動があったので、そのお供に持って行ったのですが、
読み始めたら、「ノーベル賞を獲るにはどうやったら良いか」
「ノーベル賞を獲る前と獲った後では業績はどう変わるか」というような
あくまでノーベル賞の効用の部分に絞った論述が多く、
神聖化していないところが、ノーベル賞と縁がなさそうなヒトツバシらしいなと(爆)。

平和賞とか物議を醸す選出も多い昨今ですが、
経済学賞は、もともとのノーベル賞にはなかったスウェーデン中央銀行資金の賞だとか、
アメリカからの受賞者の偏りの現実とか、
そういうアレコレを知るにつけ、普遍的で神聖な賞なのではなく
あくまで一つの価値観のもとに選ばれる賞なんだということが明確になり、
こういう視点は、もっと日本人全体に知らしめるべきだと感じました。

一方で、ノーベル賞の日本人受賞者を2050年までに30人輩出するという政府目標は、
研究分野への投資効果を測定する1つの指標としては、
有効なのではないだろうかと思いました。

基礎研究に莫大なお金が必要となる現状において、
政府が相応の体制で支援しなければ、研究成果も出てこないでしょうし、
その1つの具体的かつ象徴的な目標としてノーベル賞があげられるのは、
分かりやすいと思いました。
ま、このおかげで最近の社会科学の分野は、優先順位が下げられて
苦汁を舐めさせられているという点は残念ですが・・・・・。

ただ、世界の頂点を狙えるような研究分野は、
やはり、国の歴史や文化の影響を多大に受ける人文科学や社会科学よりも
自然科学分野の方が期待が持てるでしょうし、
日本のこれまでの実績からしても、国策の設定の仕方としては
納得性が高いかなと思います。

本誌では、ノーベル賞受賞者の野依先生が、米倉先生らと対談して、
政府目標を受けて国が示すべきビジョンとか、研究者の在り方とかを議論していますが、
こういう受賞者の視点と、枠外の社会学者の視点と
両方をバランスよく政策の中に盛り込んでほしいなと願います。

というわけで、当初の期待の薄さとは異なり、
非常に面白い特集でした、。

他にも、知的障害者支援施設のこころみ学園の物語とか、
ビジネスの「当り前」を疑うブラケティングの話だとか、
興味深い記事がたくさんありました。


一橋ビジネスレビュー 2017年SUM.65巻1号一橋ビジネスレビュー 2017年SUM.65巻1号
一橋大学イノベーション研究センター

東洋経済新報社 2017-06-16
売り上げランキング : 204212

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

関連記事
この記事のURL |  一橋ビジネスレビュー | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<『時をかけるゆとり』 | メイン | 『さよなら小売業!』>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/5318-2644ad5f
| メイン |