『光媒の花』
- 2017/08/22(Tue) -
道尾秀介 『光媒の花』(集英社文庫)、読了。

連作群像劇というスタイルの道尾作品は初めてでした。

冒頭の「隠れ鬼」。
主人公が子供の頃の夏に避暑地で経験した年上の女性との出会い。
熊笹の生い茂る空き地へ、毎日会いに行くというファンタジーな感じで物語は進みますが、
終盤、やっぱり道尾秀介!というグロい終わり方。
タイトルを見返すと、また不気味さが光ります。

というわけで、続く「虫送り」も、これまた不気味。
道尾秀介×虫という組み合わせが、すでに気持ち悪いですが、
虫送りというある種の農耕儀式を、ここまで不気味な道具に使う人も
なかなかいないのではないでしょうか。さすがです。

ところが、この不気味さが、「冬の蝶」あたりから
少しずつ、人間の内面の葛藤の積み重ね、ひいては人生を描いていく作品に
タッチが変化していきます。
このあたりの匙加減が絶妙。

苦しみを背負ってきた人間が、
ある出来事が切っ掛けで視野が変わり、
過去の自分と決別するとともに、周囲の人にも寛容になれる、
そういう前向きな気持ちになる読後感が、
道尾作品ということを忘れさせてくれるほどでした(苦笑)。

連作群像劇のつながり具合も面白かったですし、
そのつながりの中で感じられるグラデーションもまた面白い作品でした。


光媒の花 (集英社文庫)光媒の花 (集英社文庫)
道尾 秀介

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