『虹色にランドスケープ』
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- 2017/06/10(Sat) -
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熊谷達也 『虹色にランドスケープ』(文春文庫)、読了。
バイク好きの人たちを描いた連作短編集ということで、 正直、私は興味のない分野なのですが、 熊谷作品ということで読んでみました。 1話目は、リストラされ次の仕事が見つからない中年男が 将来を悲観して、バイク事故を装った自殺で保険金を家族に残そうとする話。 いきなり爽快さのない暗い話で、 しかも主人公の男が、全然、世の中が見えていない能天気ぶりで、 あまり共感できずに終わってしまったのですが、 2話目から引き込まれていきました。 ツーリング仲間だったり、バイク屋とその客だったりと、 各話の主人公たちが繋がりをもって話が展開していくので、 立体交差するような物語の構造が面白かったです。 そして何より、1つ1つの物語に、 その主人公の人生がぎゅっと詰まっている感じで、 バイクというモノを通して、その人が重ねてきた時間や、作ってきた人間関係、 そして、これからの出来事への思いといったものが描かれていて、 深みのある話たちでした。 バイク好きの方々は、バイクにのめり込んでいる感じが、 外野から見ていても伝わってくるのですが、 その、のめり込みぶりが、人生の姿と重なって、 味のある小説に仕上がっていると思いました。
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