『エンジェルエンジェルエンジェル』
- 2017/05/27(Sat) -
梨木香歩 『エンジェルエンジェルエンジェル』(新潮文庫)、読了。

認知症が少し入った気配のある祖母と一緒に暮らすコウコ。
ストレスを癒すために熱帯魚を飼い始めますが、
祖母の深夜のおトイレタイムに熱帯魚を眺める習慣がでいていきます。

その祖母が娘さんだった頃のお話も挿入されていきます。
ハイカラなミッションスクール時代のお話。
先生との関係や、同級生との関係など。
意外と強気な一面をのぞかせており、
その印象が、数十年後の「おばあちゃん」になった時の彼女の描写に
影響を及ぼしていきます。

惚けちゃったと思っていた祖母が、
熱帯魚を飼ったとたんに、ふいに覚醒する時間ができるようになり、
やたらと明瞭に自分の思いを述べるときが出てきます。

正直、こんな事態に陥ったら、私はパニックになるだろうなと。
幸い、両祖母は認知症にはならずに、最後までハキハキとした生涯でしたが、
認知症になった祖父や、親戚のおばちゃん達とのやり取りを思うと、
ずーっと呑気なことを話してくれている方が、ある意味、気が楽で、
変にまともな発言が出たりすると、「おっ、どうした!?」と緊張します。

夜中にふと覚醒する祖母。
これは、結構、怖いです。

そんな祖母を受け止める主人公の女子大生は、
自分の意見よりも、無意識に周囲のニーズに合わせてしまうタイプ。

そんな自分を自覚してるのですが、直せない。
いやはや、このモヤモヤ感、非常に分かります。
私自身、周りに文句があっても、自分が引けば穏やかに過ぎていくと思うと、
自分を曲げて、にこやかに応対してしまうタイプ。
で、終わってから後悔という。

そういう人は、周囲の発言や立ち振る舞いに敏感なので、
この祖母の豹変ぶりは恐怖だと思います。
そのあたりの心境を、さらっと、でも上手く描いている作品だと思います。

認知症と思っていた祖母の、実は、長い歴史の積み重ねから生まれてきた言動、
こういうことを描かれてしまうと、認知症とあなどることなく、
人生の先輩の言葉は、大事に伺わないといけないなと思ってしまいます。


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梨木 香歩

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