『どくとるマンボウ青春記』
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- 2017/05/10(Wed) -
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北杜夫 『どくとるマンボウ青春記』(新潮文庫)、読了。
久々のマンボウ先生。 本作は、旧制高校時代を振り返った作品です。 バンカラな生徒が集まった松本高校・西寮での生活は、 先生にいたずらしたり、テストが分からず詩を書いたり、 もう、やりたい放題な感じです。 平たく言ってしまうと、集団躁状態のような。 その反動で大学生活では、内面に引きこもってしまうような 思索にふけったようですが、躁鬱の北杜夫、ここに生まれりという感じでしょうか。 終戦前後の時期を旧制高校で過ごすという 非常に特殊な時期を経験しているマンボウ先生。 貧しさと戦争が終わった解放感が変にマッチして、パッカーンと明るい高校生活です。 しかし、大学に進学する頃になると、 次第に日本という国も生活が回復してきて、 モノゴトを考える余裕が出てきたリ、将来に向けて何かを企てたりする時期に なってきたのでしょうね。 そこから深い思索の谷に落ちていったようです。 加えて、父親が有名な歌人であり、医者の家系を継げというプレッシャーもあり、 追い込まれる要素は出揃ってますなぁ・・・・。 あんまり直接的な言及はないですが、 しかし、やっぱり、圧力はすごかったと思います。 それに抵抗したという感じはなく、 素直に従ったような印象でしたが、 その分、自分の内面で整理をつけていくのは大変だったのでしょうね。 それが、後年の発病につながるような気が。 いずれにしても、最後の旧制高校性として、 その充実した日々を活き活きと描いている作品として、 面白く興味深いものでした。
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