『白ゆき姫殺人事件』
- 2017/05/04(Thu) -
湊かなえ 『白ゆき姫殺人事件』(集英社文庫)、読了。

湊さんお得意の、関係者が主観的に事件や人物を語りまくるという構成
本作では、フリーライターが取材をして回っているという形式ですが、
解説にも書かれている「話を盛っちゃう」感が良く伝わってきます。

取材と言いながら、情報を切り貼りしているだけで
何ら自分なりの分析や考察を加えようとしないので、
その盛られた話をそのまま記事にしてしまっていますが、
そのおかげで、本作全体のストーリーは終盤に大きな転換を迎えます。

取材ノートを読み進めると、とある容疑者に対して
いかに怪しいかという肉付けを、各人が勝手に行っていき、
取材記者も都合よくのっかっていく過程が分かりますが、
しかし、読んでいる途中で、引っ掛かる点がいくつも残ります。

しかし、取材は、殺人事件の真相解明というスタンスから、
容疑者がいかに歪んだ人間性を持っていたかというエピソード追求に逸れていき、
引っ掛かりは引っ掛かりとして残ったまま、
物語はどんどん先に進んでいきます。

これらの引っ掛かりが、最後は全てつじつまが合うように解明され、スッキリします。
が、辻褄を合わせるキーポイントとなるのが、
若手バイオリニストへの偏執的とも言えるファンの愛情のあり方であり、
頭の中では辻褄は合いますが、感情的というか生理的には
気持ち悪い・・・・という思いが先に立ってしまいます。
こういう、同じ芸能人を好きになりながらファン同士の間ではいがみ合うという
狭苦しい世界は苦手です。

田舎町の人々の恰好の娯楽となった感のある殺人事件の取材、
ジャーナリストとは呼べない薄っぺらい雑誌記者、
SNSなどでどんどん情報を発信してしまう関係者、
そして、みんなで寄ってたかって「面白い事実」を作り上げようとしてしまう集団心理。

どれも、現代の心の荒み方を表しているようで、
相変わらず、湊作品は、逃げ場がない嫌な感じを読後感に残してくれます。


白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)
湊 かなえ

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