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『天平の甍』
- 2007/03/03(Sat) -
井上靖 『天平の甍』(新潮文庫)、読了。

鑑真の日本渡来にかけた日本人留学僧の物語。

テーマとしては興味があったのですが、
描写が淡々としていて、主人公と距離を感じてしまったため、
最後まで、のめり込むことが出来ませんでした。

この作者らしい筆捌きではあるのですが、
今回は特に描写対象との距離を感じて、冷たい印象を受けました。

『額田女王』のときは、同じような文体でも
物語の力強さを存分に感じることができたのですが・・・。
ボリュームの問題のなのでしょうかね?

それにしても、普照の移動ルートが巻頭の地図上に示されていますが、
地図ではピューッと線が引かれていますが、
総移動距離数千kmの壮大な冒険です。
そしてまた、移動にかかる時間の長さ、待つ時間の長さを考えると、
想像もつかないゆったりとしたスケジュールであり、
1分1秒、時間に迫られてせかせかと生活している身からすると、
こんなに時間がかかっても消えない情熱というものに感嘆します。

天平の甍
天平の甍井上 靖

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