『田舎の紳士服店のモデルの妻』
- 2017/03/12(Sun) -
宮下奈都 『田舎の紳士服店のモデルの妻』(文春文庫)、読了。

タイトルに惹かれて買ってきました。
その語感から、もっとポップな感じの物語なのかと思っていたら、
鬱になった夫と田舎に引っ込んだ主婦の鬱屈した生活を綴ったもので、
結構、暗い感じの話でした。

最初疑問だったのは、この主人公はなぜ怒らないんだろうか?ということ。
勝手に会社を辞めると決めた夫。
勝手に自分の郷里に帰ると決めた夫。
内心、いろいろ文句を連ねていますが、
夫と面と向き合って話し合った形跡がありません。
夫が鬱病だから・・・・という理由はあるものの、
それにしても、文句をどのように内面で処理したのかが分かりませんでした。

そして、田舎に引っ越してからも、
近隣住民との問題や、夫の仕事の問題や、夫の病気の問題、
息子たちの学校生活の問題や、友人関係の問題、
様々な問題が主人公には降りかかってくるのに、
その境遇を理不尽だと不満を持つことはあっても、
外に向かって思いを爆発させることのない主人公・・・・・
この人には、熱い感情というものがないのだろうか???と思ってしまうぐらい
自分の置かれた状況に覚めてしまっているというか、
何でも受け入れてしまっている感じがして、
主人公が人間ぽくないように思えて仕方ありませんでした。

しかし、途中で、
「あぁ、三浦展さんが言う『下流社会』って、こういう感情の持ち主のことなのかも」
と思うようになりました。
自分の置かれた状況を変えようという気持ちの起きない人たち・・・・・。
それって、一見中流階級に見える30代の層に、意外と多いのかも。

本人たちのことは、自分で責任取るしかないので、それはともかくとして、
子どもたちのことは、「親がそれでいいのか!?」と思わざるを得ませんでした。
でも、こうやって、この階層の子どもたちは育っていくのかも。

なんとなく希望が持てるような終わり方になってましたが、
主人公が希望的観測をしているだけで、
私には、この先の姿について、恐怖を覚えずにはいられませんでした。
でも、それが今の時代なのかも。


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宮下 奈都

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