『三十人の戦争体験記』
- 2017/02/02(Thu) -
三重フィールド研究会 『三十人の戦争体験記』(三重県良書出版会)、読了。

いただきものの本。
しばらく積読になっていたのですが、戦争絡みの小説を読んだので、その流れで。

こちらは、第二次世界大戦に兵隊として、看護師として、
大陸で仕事をしていた両親についていった子供として、
自らの戦争体験を語ったものを、学校の先生たちが聞き書きしています。

そのため、文章として読みやすくまとめられており、
極限の体験を冷静に描写しているところも良かったです。

兵隊となって戦場に向かった人の言葉は、
銃を突き付けられた瞬間の思いや、
隣にいた仲間が次々と亡くなっていくという絶望感、
必死に戦場を潜り抜けてきた悲壮感、
どれも、戦争を起こす国になってはいけないという思いに繋がります。

一方で、極限の体験は、やはりどこかしら美化されるというか
後から記憶が上書きされていっているのではないかと思えてしまうところもあり、
戦争という大きな出来事を個人の視点から伝える難しさも感じました。

同じ戦争に参加していても、人によって、
兵隊組織の厳しさの表現が違いますし、
出会った中国人の印象も全く違っています。
戦闘の厳しさや、敵への思いというものもそれぞれ。
天皇によるラジオ放送のインパクトも千差万別。

日中戦争において、様々な戦闘の規模や内容で意見の対立があるのも、
日本人の間でこれだけ違った経験をしているなら、
致し方ないところもあるんだろうなと。
政治的には揉めるしかない点ですが、個人の記憶においても、相違点だらけなのだろうなと。
それだけ、戦争というのは大きなものであり、
個人というのは、部分的なものしか見えないのだということなのでしょう。

個人的に興味深かったのは、
兵隊という立場以外で戦争に直面した人々の物語です。
特に、父親が満州で仕事をしていたから一緒に海を渡ったというような方。
戦闘に参加していない分、冷静に中国社会のことを観察しているように思え、
その町の様子や日常の描写は興味深かったです。

最後に、津市の空襲の話が出てきましたが、
私の実家周辺は、空襲で焼け野原となった地域です。
祖父母をはじめ、近い親戚で誰も空襲で亡くなっていないのが
奇跡のようなことなのだということを、改めて実感しました。

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