fc2ブログ
『晴れた日は巨大仏を見に』
- 2017/01/04(Wed) -
宮田珠己 『晴れた日は巨大仏を見に』(幻冬舎文庫)、読了。

以前、東南アジアの変な寺院を巡る旅行記を読みましたが、
本作は、日本の変な大仏を巡る旅行記。

巨大仏って、何でこんなに、いかがわしい雰囲気を醸し出しちゃうんでしょうかね。
著者は、その「ぬっと」感に理由を求めていますが、
私はもう、巨大であることの必然性の無さに尽きるのではないかと思います。

奈良時代~平安時代にかけて、
仏教は鎮護国家のための中心的役割を担っていたので、
日本全体を遍く治めるような仏の力を顕示するために
巨大な仏像が求められたというような社会背景はあるにしても、
現代において、巨大仏を作らなければならない理由が何なのか分からず、
しかも大金を投じて作ってしまうという行為に、
疑問というより不安な何かを感じ取ってしまうのかなと思います。
仏像づくりに投じる大金があるなら、もっと社会のために直接的に役立つ
カネの使い方があるのではないかと思わずにはいられない何かが。

そういう不安を感じる構造物を、
あえて見に行くという行為そのものが、またまた、いかがわしいような気がして、
そんな仲間に入りたくない・・・・というわけで、拝観者は増えないのではないかと。

著者のような奇特な人が見に行って、レポートしてくれない限り、
私のような凡人は、巨大仏を見ることもないまま人生を終えてしまいそうです。

個人の資産家が作った大仏もあれば、
テーマパークの施設の一環である大仏もあれば、
ちゃんとした寺が建てた大仏もあるようですが、
どれも一様にいかがわしい(苦笑)。

そして、どれも、経営難がにじみ出てるというか、
漏れだしているというか、ダダ漏れというか・・・・・。
後先考えずに作っちゃった感が満載です。

著者は坂口安吾など、いろいろ難しい話も引き合いに出しながら
あーだ、こーだと分析してますが、
私は、やっぱり、必然性がないから人を惹きつけないんだと思いますよ。

一冊読んで面白かったけど、
じゃあ、巨大仏を見に行きたくなったかというと・・・・・全然(爆)。


晴れた日は巨大仏を見に (幻冬舎文庫)晴れた日は巨大仏を見に (幻冬舎文庫)
宮田 珠己

幻冬舎 2009-10
売り上げランキング : 319160

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

関連記事
この記事のURL |  宮田珠己 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<『藤原新也の動物記』 | メイン | 謹賀新年>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/5061-3c52f19c
| メイン |