『ぼくが医者をやめた理由』
- 2016/12/21(Wed) -
永井明 『ぼくが医者をやめた理由』(角川文庫)、読了。

ドカ買いしてきた中の一冊です。
医療系エッセイだろうな程度の予想で買ってきたのですが、
なんだかベストセラーになった本みたいです。

ただ、私には合いませんでした。

プロローグで、瀕死の状態の患者さんに対して
当直だった著者は、「嫌だ、俺は診ない」として治療を拒否、ナースステーションに帰った
という出来事が綴られていました。

「どうにも手の施しようがない患者に対し、『最善は尽くしましたが・・・・』と言うためだけに
 処置を行うのは無意味なだけでなく、死にゆく人への冒涜だ」
というような見解を持っているのだと理解しましたが、
しかし、それにしても、この対応はないだろうに(怒)。

医師にとっては数ある瀕死の患者の中の1人かもしれませんが、
当の患者さんにとってみれば自分の最期の瞬間であり、
その家族にとってもれば、この世に唯一の父なり母なり子供なりの最期です。
そこを、医者の価値観で壊してしまうようで、
あまりにも不遜であるという印象を受けました。

本編で語られた様々なシーンにおいても、
著者の人生観や価値観は理解しますが、
その表現方法として、医師がそれで良いのか?という疑問は付きまといました。

医局の中で話しているのならともかく、
著作として世に問うには、表現や行動が軽すぎないだろうかと。

そんな自分の行動を、たまに反省して、最後の一歩を踏みとどまった自分に
「そんなことをしたら品がないから自制した」というような表現をしていますが、
最後の一歩を待たずして、本作での数々の行為は品がないですから!
と言いたくなってしまいます。

神聖な仕事であるはずの医者の真の姿を露悪的に描き、
その暴露本を嬉々として読んでベストセラーに仕立て上げる読者たち。
なんだかバブルの悪い空気を吸ってしまったかのような読書になりました。


ぼくが医者をやめた理由<ぼくが医者をやめた理由> (角川文庫)ぼくが医者をやめた理由<ぼくが医者をやめた理由> (角川文庫)
永井 明

KADOKAWA / 角川書店 2013-02-25
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