『レインレイン・ボウ』
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- 2016/12/20(Tue) -
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加納朋子 『レインレイン・ボウ』(集英社文庫)、読了。
高校時代の弱小ソフトボール部の面々が、 卒業以来に久々に一堂に会した。 理由は、チームメイトが亡くなったから・・・・・・。 20代で高校時代の仲間が亡くなるのって、 予想していないだけに、衝撃度は大きいですよね。 それが、事故死とかではなく、病死ならなおさら。 そんな衝撃の連絡を受けるところから書き始めて、 1年近い時間軸をもって順番に描いていきます。 心臓病の持病を持っていたのに、ソフトボール部に入部した女の子。 しかも運動神経が良いわけでもなく、むしろ頭が良くて文系イメージ。 部内では侍女のような御付の同級生がいる不思議な存在。 そんな子が職場の過労死で死んでしまう。 なぜ??? その謎を、直球に追いかけるのではなく、 チームメイト1人1人の日常生活を描くことで、少しずつ明らかにしていきます。 この辺の匙加減が上手いんですよね~。 個人的には、弱小ソフトボール部という設定が心惹かれます。 なぜなら、私も、中高ともに一回戦敗退の弱小ソフトボール部だったから。 そして、キャプテンという立場だったので、陶子さんに興味津々。 背負わなくても良い役割を背負いがちなところって、 多分あったと思うんですよねー。 弱小チームだから、入部動機の幅が広すぎて収拾付かないところも共感。 ソフトボールが好きだから・・・・という理由以外に入部する人って、 結構いるんですよね。 友達が入部したからとか・・・・・。 そうなると、厳しい練習で勝つための技術を磨くよりも、 毎日楽しく部活をすることの方が優先されて、 スポーツ派の部員とレクリエーション派の部員をまとめるのが難題! ま、私自身、楽しく練習できれば良い派だったので、 結局、最後まで弱いままでしたけど。 高校のソフトボール部は、私たちの代で廃部にしちゃいましたし(苦笑)。 中学・高校時代の淡い思い出を浮かびあがらせつつも、 「今、チームメイトたちはどうしてるんだろう???」という思いに至った作品でした。 Facebookとかで繋がっているチームメイトは何人かいるけど、 全く音信不通の子もいます。 そんな子からの久しぶりの連絡が訃報とか、 やっぱり、やりきれないですよね。 古くからの友達とは、楽しく近況報告したいなぁと 呑気な感想になってしまいましたが、 本作は、そんな微妙な女子の友好関係や、 卒業後の仕事での奮闘ぶりを良く描いていて、佳作だと思います。 私は、栄養士の由美子の物語が、 「そんな上手く行かないよぉ~」と思いながらも、 勤め人として、スッキリ爽快に読ませてもらいました。
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