『想像ラジオ』
- 2016/12/06(Tue) -
いとうせいこう 『想像ラジオ』(河出文庫)、読了。

芥川賞の候補になったとき、
3.11のことをストレートに扱った作品であると知り、
まずは、このタイミングでガッツリこのテーマに取り組もうとした姿勢に驚きました。

いとうさん、内村さんとよく一緒にテレビ出てたなぁ・・・・なんて思い出しながら、
そして、徳ちゃんのラジオで紹介されて、さらに気になってきました。

でも、3.11にまつわる死者の話みたいだしなぁ・・・・と逡巡していたのですが、
100円で見つけたのを機に、ようやく手に取りました。

第1章から、いきなりトップスピードで入ってくるDJアークのおしゃべり。
「あれれ、意外とポップなのね」と思っていたら、
章が進むにつれて、段々と核心に迫っていきます。

基本、DJアークが一人でしゃべっている内容で物語が進んでいくため、
自分や家族の生と死にまつわる認識を、DJアークが次第に深めていく過程が
切なかったです。

無理に明るく振る舞おうとしている様子とか、
周囲の人に素直に助けを求める姿とか、
一瞬にして自分の命を失ってしまった魂が
現実を受け入れてい過程を膨大な言葉の海の中で見ることになり、
この絶妙なバランス感覚にドキドキしました。

一方、偶数章で語られる現実世界側の話は、
あんまりピンときませんでした。
あまりにDJアークの存在が大きすぎるものだから。

でも、1冊丸々がDJアークの語りだったら、
言葉の洪水に押し流されてしまいそうで、
私にとっては、偶数章は箸休めのような場でした。

たぶん、偶数章の方からこそ、本作の意味を読み取っている人も
たくさん居るのだろうと思いますが、
私は、そこまで消化しきれませんでした。

杉の木のてっぺんから流れてくる想像ラジオ。
杉の木に引っかかっている死体。
放射能のために引き取りにいけない場所。

この舞台装置は凄いなと。
凄いとしか言いようのない創作力。

杉の木の上にとどまったままの魂からの言葉。
東北の地には、こんな魂があちらこちらに埋もれていそうで、
それを想像すると、また痛ましい思いが沸き上がってきますが、
1つでも多くの魂が、天に昇れますように。
そう願います。


想像ラジオ (河出文庫)想像ラジオ (河出文庫)
いとう せいこう

河出書房新社 2015-02-06
売り上げランキング : 20150

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ


関連記事
この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<『とせい』 | メイン | 『夕日よ止まれ』>>
コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/5038-0e6e0035
| メイン |