『怖い絵 泣く女篇』
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- 2016/08/29(Mon) -
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中野京子 『怖い絵 泣く女篇』(角川文庫)、読了。
大ブームになった『怖い絵』ですが、 本作は続編のようです。 最もインパクトのある絵をシリーズ1作目に持って行ったのでしょうから、 本作に登場する作品は、多少地味な感じでまとまっているのではないかと推測。 ただ、地味な分、じわじわと来る恐ろしさがあります。 ドレイパー「オデュッセウスとセイレーン」や、ベックリン「死の島」には、 絵そのものから受ける不気味さが感じられますが、 ブリューゲルの「ベツレヘムの嬰児虐殺」などは、 その歴史背景を解説されることで、より怖さが引き立ちます。 さらには、ミレーの「晩鐘」のような作品からは、 一見すると怖さは感じないのですが、 他の画家がこの作品をどう見ていたのかという解説の内容の方に怖さを感じたり。 でも、一番怖いと思ったのは、絵の中の無表情の人たち。 カレーニョ・デ・ミランダの「カルロス二世」、フォンテーヌブロー派の「ガブリエル・デストレとその妹」、 ファン・エイク「アルノルフィニ夫妻の肖像」など、どれもこれも無表情、もしくは薄い表情。 その裏に潜んでいそうな本音の部分が皮を破って飛び出してきそうで、気味が悪いです。 結局、一番怖いのは、人間そのもの。
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