『高校野球「裏」ビジネス』
- 2016/08/14(Sun) -
軍司貞則 『高校野球「裏」ビジネス』(ちくま新書)、読了。

西武ライオンズの生活費支援問題は、
「そういえば、そういうニュースがあったなぁ」という程度で、
あまり具体的な記憶が残っていませんでした。

クリーンでない印象を持ったものの
野球の素質がある子供を大きく飛躍させるためのシステムとして
必要悪なのではないかという程度にとらえていました。

が、本作では、大学生の生活費の問題よりも
より幼い時にズブズブの関係に子供を巻き込もうとする
「ボーイズリーグ」という存在について丹念な取材をしています。

そもそもボーイズリーグって、関西圏にしかない組織なんですね。
それすら知らなかったのですが、
中学校生活における教育の一端を担い、
高校への進路指導はもちろんのこと、人生設計を組み立てるところにも
深くかかわっていることが、本作で良く分かりました。

悪徳ブローカーとか、子供を食い物にするのは良くないですが、
しかし、野球の力を伸ばすために、やっぱり一定の貢献をしている仕組みなのではないかと
読んでいて感じました。
実際に、田中将大投手のような逸材が出ているわけですし、
しかも彼は礼儀正しく人間的にもできた人のようなので、一級の成功事例でしょう。

オリンピック選手などには、育成強化費用として国から相応の資金が
投資されているわけで、野球選手には、税金ではなく球団の金や高校・大学の金が
投資されているという構図かと思います。
(ま、学校には税金が投下されているから巡り巡って税金だという指摘もあるでしょうが)

オリンピックの選手育成に比べると、対象となる選手のすそ野が広すぎて、
また企業間、学校間の競争という要素が入ってくるので、
ばらまき型になりがちという悪い傾向はあるでしょう。

しかし、本作の中で紹介されていたような
単純に野球留学を制限するだけのルール作りでは、
伸びるべき素質が萎んでしまいかねないなという懸念を覚えました。

良いところ、悪いところがあるにしても、
このボーイズリーグの選手育成&選手創出スキームは
非常に優れたビジネスモデルになっていると思います。

これだけの仕組みが作れて、かつ運営できている大人の頭脳がうらやましい。


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軍司 貞則

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