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『無料ビジネスの時代』
- 2016/07/10(Sun) -
吉本佳生 『無料ビジネスの時代』(ちくま新書)、読了。

先日読んだ『FREE』が面白かったのですが、
たまたまブックオフに行ったら本作が目に留まったので、
日本版『FREE』かなと思い、買ってみました。

案の定というか、かなり『FREE』を意識した作りになっており、
しかも日本企業の事例で解説されているため、
非常に分かりやすかったです。

そして、「無料ビジネス」を、本作においては、
「最初に無料で顧客を獲得し、総合採算で利益を確保するビジネス」と
限定的に定義をしたことで、総花的な『FREE』に比べて
無料ビジネスの本質に辿り着きやすくなってると思います。

また、高く買う「能力」と高く買う「意思」を明確に区別して
価格戦略を捉えているところも、面白かったです。

確かに、何か商品を売ろうとしたときに、
「これなら10,000円でも安いと思うよ!」と言いながら
「でも、今はお金がないから買えないけど・・・・」と断られるケースは
多々あると思います。

嫌な言い方をすれば、「私はこの商品の価値をちゃーんと分かってるよ」と
自分の理解力をアピールしつつも、
「でも、実際に自分のお金を出して買うほど欲しいものではないなぁ」と
ちゃんと懐事情と相談しているんです。
結局、購買行動に繋がらないという・・・・。

ここって、企業側がマーケティングをするときに
注意しなければいけないポイントだと思います。
意思に基づく消費者の反応だけに囚われて価格設定すると
結局一部の人しか買ってくれないという状況に陥りそうです。
その人の支払い能力もきちんと見極める観察力が必要ということですね。

そして、本作では、単に一企業が利益を上げるための方法論としてだけでなく、
日本全体の経済が上向くためには、とにかく使える人間に金を使わせろ!という
本音を隠さずに述べているのが潔いなと感じました。

その点は、官僚のような視点から日本経済を見ている方なんだなと。
経済官僚は皆、そういう視点で物事を考えていると思いますが、
それを公の場で口にすることはないでしょうから、
このような著述に出会うと、ハッとします。
いろいろ気づきが得られた良い読書になりました。

あと、本作ではマクドナルドのカフェ無料戦略が紹介されていましたが、
マックが日本のビジネス書で成功事例として題材にされるのは、
本作が出た2011年あたりが最後になるような気がします・・・・・・。


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吉本 佳生

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