『あん』
- 2016/06/06(Mon) -
ドリアン助川 『あん』(ポプラ文庫)、読了。

Bookoffの店頭で目に留まったのですが、
徳ちゃんのラジオで紹介していたなぁ・・・・・と思い出し、
試しに買ってみました。

商店街の小さなどら焼き屋。
繁盛せず、潰れもせず、業務用あんこを使って淡々と過ぎていく毎日。
そこに現れた高齢の女性を雇ってみたら、美味しいあんこが評判に。

どら焼き屋の奮闘譚かと思いきや、
そこに絡んでくるのがハンセン病の問題。
どら焼き屋の救世主は、ハンセン病を患った過去があり、
その噂話が客に広がっていくにつれ、顧客離れを起こしてしまいます。
オーナーは辞めさせろと迫り、店長は何とか判断を先延ばしにしようとするが、
これといった解決策は見つからないままに・・・・・・。

もし、自分がオーナーだったら、作中のオーナーと同様に
「辞めさせろ」と指示すると思います。
ハンセン病が完全に治っていたとしても、飲食業はイメージ商売という一面もありますから。
そこは、差別的思想だと言われても、ビジネス的に判断を下すように思います。

ただ、もし、自分が店長の立場だったらと思うと、どうしただろうかと悩みます。
最初の時点で、指の曲がりなどを気にして雇わないという判断をするか、
それとも、美味しいあんこを作れるという技量を買って雇うものの働く場所を厨房のみとするか。
ま、結局は作中の店長と同じなんですけど。

大事なのは、そこで、なぜ厨房のみと限定してお願いするのかを
きちんと本人と話しておくことなのでしょうね。
そのためには、体に残る障害のことを真正面から聞かざるを得ず、
気を遣うことではあるのですが、しかし、お茶を濁して避けて通ると、
本作のような展開になっていってしまうと。

障害のことをもって理由なく不当な扱いをすることは差別ですが、
高齢であることも含め、きちんと仕事が遂行できるのか確認し、
障害のことでお客様からの質問にどう答えればよいのか本人と店長の間で共通認識を
もっておくということも大事だと思います。

本人も、店長も、お客様も、嫌な思いをしないためには、
そういう丁寧な最初のステップが大事なんだろうなと考えました。
日本人って、知らないこと、良く分からないことに対して過剰な不安を覚える傾向にあるので、
店側として、きちんと理解し、説明できるようにしておくというのが
結局は差別を助長させないために必要な対応なのではないかなと思います。
机上の理想論であり、実際に上手くこなすのは大変なことですが。

物語は、最後、お互いに傷ついたままなものの、
少し明るい未来が見えるような心持になりましたが、
ハンセン病の元患者さんたちへの理解をきちんとすることで、
無闇な差別を減らしていけるのだろうと思います。


([と]1-2)あん (ポプラ文庫)([と]1-2)あん (ポプラ文庫)
ドリアン助川

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