『リズム』
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- 2016/05/15(Sun) -
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森絵都 『リズム』(角川文庫)、読了。
久々に、素直に青春時代を送っている中学生を読んだ気がします。 どうにも、この頃の中学生を扱った作品は、 いじめだったり、犯罪だったり、非行だったり、棄国だったりと 暗い世界の作品が多いので・・・・。 もちろん、スポコンものなどの爽やかな作品はたくさんあるのですが、 そういう熱いものを持たない、普通の中学生の普通の日常を描いた作品って、 印象に残るものが割と少ないように感じます。 本さうは、物語としてはちょっと緩い部分があるかなとは思いましたが、 主人公さゆき、高校受験でピリピリしている姉、 中卒でバンドをしているフリーターのいとこ、いじめられっ子の幼馴染、 この人間関係の構成が上手いです。 あまり熱意が感じられない日々を送っている主人公ですが、 周囲の人間の弱いところや悲しいことには 本人が自覚している以上に共感力があり、 様々な人に無意識の優しい眼差しを向けています。 そのまなざしが、熱意がない分、自覚がない分、 心地よさや安心感を感じさせてくれます。 主人公自身にとっても、つらいことが起きますが、 そんな時に、友人や担任教師がきちんと気づいてあげられる、 そこは現実世界よりも大分甘い世界が広がっていますが、 たまにはこういう小説の展開もいいなと感じさせてくれる甘さでした。
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