『遙拝隊長・本日休診』
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- 2016/04/22(Fri) -
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井伏鱒二 『遙拝隊長・本日休診』(新潮文庫)、読了。
大けがを負って復員したものの精神に支障をきたした陸軍中尉の話と 町医者に休診日にやってくるおかしな面々の話。 私が常々、精神異常を扱った作品が苦手だと感じている理由が、 本作を読んでいて何となく分かりました。 それは、罹患している本人が、自分の病気のことを正しく認識していないため、 「そんなことをしていては病気が悪化してしまう・・・・・」というモヤモヤが 読んでいて募ってきてしまうからだと思います。 「本日休診」に出てくる患者さんたちも、 診察日にきちんと来れば良いものを、何じゃかんじゃと理由をつけて先延ばしし、 のっぴきならない状況になってから休診日にやってきます。 この判断の甘さというか、錯覚が、読んでいて不安をもたらすのだなと思いました。 薄いユーモアに包んでいるとはいえ、 私にはやはり不安の方を強く感じてしまいました。 でも、もちろん作品としては読ませる内容に仕上がっています。
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