『楢山節考』
- 2016/04/18(Mon) -
深沢七郎 『楢山節考』(新潮文庫)、読了。

姥捨ての話ということは知っていたのですが、
初めて読んでみて、単純なお涙頂戴ものではなく、
山奥の集落の閉鎖的な社会において生活を維持するための
過酷な習慣や文化というものを鋭く描いている恐ろしい作品だと感じました。

食料の盗みを働いた人間に対するリンチの計や、
そのリンチに全員が加わるように仕向けられた罰則など、
村に害を与えないよう、抜け駆けしないよう、
基本的に性悪説に立った掟が確立している世界にゾッとしました。

そして、70歳になったら山に捨てられる運命を甘受する老爺や老婆たち。
山に捨てられる日に雪が降れば楽に死ねるということを喜ぶ心境。
それが当たり前のこととして全員が受け入れている異様さが恐ろしいです。

一気に読んでしまいました。

並録されている他の3編は、
精神病、連れ込み宿、正宗白鳥と、いずれも全く異なったテーマや舞台設定で、
この作家の振れ幅の広さというか、つかみどころの難しさを感じました。

特に、精神病の妻のことを夫の目から描いた「月のアペニン山」は、
途中まで、周囲で起きる出来事に、ホラー作品のような不気味さを感じました。
蠅がたかるシーンとか・・・・。

人間の暗い部分を描くのが上手い作家ということでしょうかね。
恐ろしいです。


楢山節考 (新潮文庫)楢山節考 (新潮文庫)
深沢 七郎

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