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『家族会議』
- 2016/04/17(Sun) -
吉村達也 『家族会議』(集英社文庫)、読了。

お初の作家さんですが、タイトルに惹かれて買ってきました。

息子が小学生になったのを機に
家族会議を開いて、子供たちに意見を言う練習をさせようとするシーンから始まります。

一見、教育熱心な父親の姿のように見えますが、
その実、先の展開をあまり考えていない中途半端さが
いかにも・・・・な感じのイマドキの意識高い系風な主人公。

しかし、子供たちの反論に遭い、あえなく撃沈。
ここらの物語展開とか、作品と著者の距離感とかが、
何となく清水義範作品を彷彿とさせます。
ただ、その距離感で笑わせるというよりは、小説としての体裁の方を気にしているような印象です。

第2幕で妻の死という急展開を迎え、「家族」は4人のままなれど、
亡くなった妻の母親が乗り込んできて、一緒に生活することになりますが、
そこからの主人公の思考の展開がなんとも急というか軽薄というか。
ま、最愛の妻の死という状況において、思考回路が麻痺しているということなのかもしれませんが、
この物語展開のために、主人公に共感できませんでした。

共感できず、かといって清水作品のように物語の世界を突き放して描写するのでもなく、
どっちつかずなまま物語は最終幕へ。

この混乱した生活に、主人公はどういう結論をつけるのかしら?と思っていたら、
まさかのエンディング。
え・・・・・物語は閉じたけど、何の問題解決にもなってないわ(苦笑)。




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