『償い』
- 2016/04/04(Mon) -
矢口敦子 『償い』(幻冬舎文庫)、読了。

うーん、イマイチ乗り切れないまま終わってしまいました。

仕事にかまけて自分の息子の急病を放置した主人公、
息子は死に、妻は自殺し、自らはホームレスの道へ。
そして出会った中学生の少年は、独特な生死観と人生への潔癖さを持っていた。

この設定は面白いと思うのですが、
なぜ、固有名詞を捨ててホームレスになった主人公が、身近で起きた事件に首を突っ込もうとするのか
その心情が分かりませんでした。
中学生と主人公との複雑な人間関係も、ちょっと出来すぎ。
物語をこねくり回しすぎて、リアリティがなくなってしまっているように感じました。

また、主人公の心情を綴った文章が、
ハードボイルドの風味というのでしょうか、非常にまわりくどい感じで、
共感できませんでした。

地の文章でも、「塒(ねぐら)」なんていう漢字を使う著者なので、
登場人物のキャラクター設定だけでなく、
著者の日本語の好みが私に合わなかったのかなと思います。

中学生の少年の、「こんな人は生きていても不幸なだけ、死んだ方が良い」
という独特な価値観は興味深く読みましたが、
しかし、少年の周りで起きている事件との関連の真相を見ていくと、
都合の良い物語展開に、せっかくの価値観の提示が毀損されてしまっているように思いました。

もう少し、著者の肩の力が抜けたら、
読みやすい作品になったのではないかと思います。


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矢口 敦子

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