『TOUR 1989』
- 2016/03/23(Wed) -
中島京子 『TOUR 1989』(集英社文庫)、読了。

香港へのツアー旅行中に、参加者の1人が居なくなってしまう。
しかし、もともと存在感のなかった彼が居なくなっても、誰も思い出せない・・・・。

「迷子ツアー」というツアー旅行の企画を軸に、
それに関わった人々の現在を描いた連作短編集なのですが、
そもそも「迷子ツアー」の趣旨が腑に落ちず、物語に入っていけませんでした。

ツアー中に1人が居なくなることで、特殊な体験をする参加者たち。
しかし、存在感のない人が居なくなることで、「何かを置き忘れてきた」というような
あやふやな気持ちが残り、それが旅行の思い出の余韻となる・・・・・って、
どんなに存在感がなくても、人が居なくなったら、誰か気づいちゃうでしょうに。
皆があいまいな記憶のまま旅行を終えるということはないように思います。

しかも、この企画がマニアの人気を呼んでいたというくだりも、
参加者はそもそも迷子ツアーであることを認識せずに参加するのだから、
人気の出ようがないのではないかとの疑問が。

仮に、参加者が、「余韻」により、この旅行を特殊なものに感じたとしても、
それが再び、この旅行会社を選ぶ理由になるとも思えず、
旅行会社の売上にも特に貢献しないですよねぇ。

物語の枠組みに現実味を感じられず、
しかも、各短編の登場人物たちの記憶と外部から与えられた過去の情報が噛み合わず、
その噛み合わない理由も曖昧なまま終わってしまい、
私には、この作品の「余韻」を味わうことが出来ませんでした。


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中島 京子

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