『憲法九条を世界遺産に』
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- 2016/01/09(Sat) -
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太田光、中沢新一 『憲法九条を世界遺産に』(集英社新書)、読了。
この本、もう10年も前の発行なんですね。 さて、憲法九条の護憲を訴えた対談ですが、 思いの外穏やかに話が進んでいくのでビックリ。 太田さんがバラエティ番組でのような破壊的な発言をするのではなく、 終始、中沢氏から学ぼう、鍛えてもらおうという低い姿勢で臨んでいるので、 その謙虚さが対談の空気を穏やかにしているのかなと思いました。 あまり爆笑問題の番組を見ることがないので、印象と違ってました。 思い込みは良くないですね。 その太田さんの影響か、中沢センセも社会に対する分析を冷静に述べていて、興味深く読めました。 太田さんは教えを乞う姿勢ながら、その実かなり勉強していて自分の思いもはっきりしているので、 中沢センセとしては話がしやすかったのでしょう。 過去に読んだ対談では、分析から主張への飛躍についていけなかったのですが、 本作では主張というより分析に軸が置かれているような印象で、読みやすかったです。 時代の空気や、編集部が求める演出ということもあるのでしょうが、 対談相手の姿勢って重要なんだなと思いました。 ただ、肝心の、「なぜ憲法九条をそのまま残したいのか」という点については、 情緒的な説明に留まっており、しかも言葉が少ないので、賛同するまでには至れませんでした。 太田さんの言葉は「憲法九条を改正した当事者になるのは避けたい」というレベルにとどまっており、 これを読むと、単なる判断放棄に思えてしまいます。 改正しないという判断も一つの判断であることを、正しく認識していないように見えます。 (あ、わたくし、改憲推進派ではありません。絶対護憲派でもありません。必要に応じて検討すりゃいい派です) タイトルの主張に具体性がないのが非常に残念でした。 実態は、社会科学系エッセイレベルの対談といったところでしょうか。
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