『お家さん』
- 2016/01/09(Sat) -
玉岡かおる 『お家さん』(新潮文庫)、読了。

大正時代の日本の貿易を支えた鈴木商店の栄枯盛衰を
女主人であった鈴木よねを軸にして描いた大作です。

以前、城山三郎翁の作品を読んだのですが、
ルポルタージュ風の作風だったので、あまり物語りに入っていけませんでした。

しかし、本作は、女性を主人公に据えたことで、
鈴木商店の商い自体には距離を置いた形で、その事業の急成長ぶりを活き活きと描き、
独特の面白さを生んでいると思います。

事業そのものの成功について、1つ1つがあまりにも大きく急激な成長を生むため、
もし男性を主人公にしていたら、描ききるのが難しかったのではないかと思料します。
事業そのものは番頭はんにお任せ・・・・という立場の女主人の目で描いたからこそ、
これだけの大きな会社を上手く描けたのではないかと思います。

また、客観的な描写と、主人公による回想とを交互に織り込む構成も、
播磨弁のリズムが心地よく読んでいてて楽しかったです。

鈴木商店の最後を知っているだけに、
事業の成長が描かれれば描かれるほど、その華やかさが増していくほど、
崩壊のときの主人公への衝撃がどれほどのものになるのか想像してしまい、
下巻の後半はかなりドキドキして読んだのですが、
意外とその描写はアッサリとして、ちょっと拍子抜け。

ま、自分自身が事業を動かしていたわけではないという理由と、
その当時かなり高齢の域に達しており、達観できた部分があったのではないかと思います。

それにしても、これだけの波乱万丈というか、
唯一無二の人生を、多くの信頼できる従業員や家族とともに送れるだなんて、
素敵なことですね。


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