『君は永遠にそいつらより若い』
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- 2015/11/26(Thu) -
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津村記久子 『君は永遠にそいつらより若い』(ちくま文庫)、読了。
デビュー作ということで、恐る恐る読んでみたのですが、 あにはからんや、既に津村節とも言うべき、力の抜け加減が心地よい文体が出来上がっていて さすが芥川賞を獲る人は違うんだなぁと感嘆。 主人公は大学4年生の女の子。 単位を取り終え、公務員の就職口も見つけ、あとは卒論を書くのみ。 気持ちばかりの授業に出て、バイトに通い、卒業までの日々をゆるゆると過ごしています。 そんな彼女は“ポチョムキン”こと処女。どちらかというと女の子に興味があり・・・・。 と、まぁ、よく分からない主人公の紹介になっちゃってますが、 淡々と日々が描かれていきます。 それほど衝撃的な出来事が出てくるわけでもないけれども、 新しい友人との出逢いがあり、別れがあり、でも、平穏な日々は揺るぎなく。 このあたりの平凡さが、落ち着いてはいるけれども、ちょっとポップで、 でもちょっと退廃的な文章で綴られています。 その匙加減が、非常に私好みな訳で。 読んでいて心地よいんです。 ただ、好き嫌いは分かれそうな気がしますが。 主人公の、人を寄せ付けない感じというか、 表面的には人当たりがよい印象を周りに与えながらも、 核の部分には触れさせないというか、他人との間に深い溝があるというか、 そういうところが自分と非常に似ている気がします。 だから、主人公の友人に対する醒めた見方とか、 世の中の流行ごとに対する興味のなさとか、 個々の人間関係にどこまで踏み込もうか迷った末に理屈で判断するところとか、 とても共感できます。 書いていて、自分、嫌なヤツだなと思ってしまいますが(苦笑)。 こういう主人公が出てくる作品を、もっと読んでみたいと思います。 自分がどんな人間か知るために(爆)。
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