『光と影』
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- 2015/08/21(Fri) -
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渡辺淳一 『光と影』(文春文庫)、読了。
医師出身の著者の作品ということで、病気にまつわる話が4つ。 さすがに短編でも、病気の話は重たいです。 表題作の「光と影」は、西南戦争で腕を負傷した将校2人の物語。 1人は切断となり、もう1人は比較実験の目的で負傷した腕を残すことに・・・・。 ちょっとした運命のいたずらで2人の肉体的な状況は大きく変わってしまいますが、 その後の人生の変遷の違いは、腕の有無によるものなのか、 腕の有無が生み出した精神的な違いの相違によるものか、 それとも、腕とは関係のない元々の資質の違いなのか・・・・・。 他人が客観的に読んでいても判断がつかないのに、 当事者が冷静な判断ができるわけもなく、主人公・小武の苦悩のほどが伝わってきます。 我々読者は、せいぜい数時間の読書の間の話ですが、 小武にとっては青年時代以降数十年に渡る人生の話であり、その重みやいかばかりか。 その他の3作品についても病気の話に気が重くなりながら、 小説としては楽しめました。 最初、短編集だと思って気楽に手に取ったのですが、 読み終わって調べたら直木賞受賞作とのこと。 あにはからんや。
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