『のぼうの城』
- 2015/07/29(Wed) -
和田竜 『のぼうの城』(小学館文庫)、読了。

和田作品2作目ですが、これも面白かった!
一気読みです。

日本史を受験勉強の対象として見ることが多かったので
あまり戦国時代の合戦のエピソードには詳しくありません。
本作の舞台となった忍城の水攻めの話も、きちんと読むのは初めてです。

2万人の石田軍に対して、500人で忍城に篭城しようという、
まあ、かなり無謀なことに挑戦するのですが、
始めからそのつもりであったのではなく、成り行きでそうなってしまった感じ。
このあたりの話のもって行き方が上手いです。

どこまで史実に沿っているのか分かりませんが、
それぞれの登場人物を、三成や吉継などの世間に知られたキャラクター設定を活かし、
また、成田一族側は上手く味付けをしてキャラクターを立たせたことで、
場面場面が、人間同士の対峙によって立体的にイメージできます。

読者としては、少数で戦うことになる成田側に肩入れしつつも、
しかし、石田側のやりとり、とくに三成と吉継のやりとりには
大名となる者のモノの見方のようなものを学ばせてくれます。
彼らと比較される長束正家は、少し可哀想な役回りでしたね。

成田一族側は、正木丹波、柴崎和泉、酒巻靭負といった武将たちの活躍が
それぞれしっかりと描かれており、アクションモノとしても楽しめる作りになっていますが、
一つ難を上げるとすれば、作戦全体を指揮する人物の描写が少なかったこと。
丹波を中心に戦術を練ったような文章はありましたが、
これだけの多方面に渡る作戦を順次実行に移すのは並大抵の統率力ではできないと思います。

成田長親を、「のぼう様」というキャラクターにするがために、
合戦シーンは、少しファンタジーになってしまった感があります。
でも、それこそが、この作品のもつ味わいなのかも。

全体を通して面白く読めました。

あと、出版社に一言モノ申したいのは、この分量で文庫本を上下2巻に分けるのは非経済的だということ。
あこぎな商売は止めてもらいたいものです。


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