『張り込み姫』
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- 2015/07/26(Sun) -
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垣根涼介 『張り込み姫』(新潮文庫)、読了。
シリーズ第3弾。 リストラ請負人が主人公であることは変わりがないのですが、 シリーズが進むにつれて、段々と物語に占める割合が、 主人公の活躍譚から、彼の面接対象者であるリストラを迫られる人に移ってきています。 そのバランス感覚が絶妙。 リストラの物語は、それぞれのお仕事の物語なんだなと 今回は特に、それぞれの仕事にかける思いが伝わってきました。 業績は悪いけれども、その仕事に誇りやこだわりを持っている人々。 収録の4作とも、それぞれリストラの憂き目に合った人たちが 彼らなりのこだわりで次の人生を見つけていく姿に、 単純ではありますが、自分も頑張ろうと思いました。 東大を出て、純文学担当を希望して老舗の出版社に入ったのに、 写真週刊誌の編集部で、昼夜を問わない激務をこなす30歳手前の女子。 私は、もう、かなり前にそんな年齢を過ぎてしまいましたが、 しかし、それまでに蓄積してきた自分の経験値や学習知に対して、 足元の仕事の状況なり、そこに置かれた自分の姿なりを思うと、 彼女のことを他人事だと思えませんでした。 リストラの対象にされるというのは、 能力のある人にとっては、自分の人生を考え直す良い機会になるのかもしれませんね。 衝撃的であっても、そういう場に遭遇する機会がないと、 意外とダラダラとした日常に流されていくだけなのかもしれません。
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