『天才の栄光と挫折』
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- 2015/07/23(Thu) -
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藤原正彦 『天才の栄光と挫折』(文春文庫)、読了。
正彦センセによる偉大な数学者たちの人生を紹介した本。 単なる伝記ではなく、実際に著者が、数学者の生まれ育った地や研究に没頭した地を踏んで 感じたこと、考えたことを文章にしているので、その数学者のことが立体的に伝わってきます。 そして、偉大な数学の業績を残した人物の日常生活が 意外と寂しいものであったり、周囲に評価されない時代があったりと、 後世の人間が思うような華々しい数学者が居ないことに驚きました。 公私共に素晴らしい人生を送るというのは、よほどの幸運に恵まれないと、 もしくは当人自信が心にゆとりをもって人生と向き合う覚悟がないと、 なかなか実現できないものなのだろうなと学びました。 肝心の数学者としての実績の方は、正直私の数学レベルでは 何の話をしているのかさえ、さっぱり分からないものが多かったですが、 しかし、アンドリュー・ワイルズ教授が、フェルマーの最終定理を証明するための ヒントを思いついた瞬間を語ったシーンに触れて、ひらめきの瞬間の素晴らしい感覚を 感動的に語る言葉に、学問の面白さ、知的刺激の素晴らしさを感じました。 (私がこれまでに味わった感動とは、天地の差があるのでしょうけれど・・・・・) こういう、偉大な人が語る、感動の瞬間というのは、 次世代の偉大な学者を生み出すために、必要な要素だと思いますし、 語り伝え、また広めていく行為は非常に有意義なものだと思います。 今、同時代の数学を研究している人の中にも、 数百年後に「偉大な数学者」として語り継がれる人がいるんだろうなと想像すると、 それはそれで夢のある話だなと思いました。
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