『召集令状』
| ||
- 2015/06/20(Sat) -
| ||
小松左京 『召集令状』(角川文庫)、読了。
久々の左京作品は、戦争を扱った短編を集めたもの。 SF作品にしては政治的なメッセージが濃いような印象も受けましたが、 しかし、やはりSFの大家、面白い作品がたくさんありました。 冒頭の「戦争はなかった」は、ある日突然、自分の周りから太平洋戦争の記録が消滅し、 周囲の人の認識からも消え、なかったことになってしまうという物語。 これを、異世界に飛んだとか、タイムトラベル的な要素を入れるとかという王道SFではなく、 「みんなが事実を封印しようとしているのではないか」というような発想に行くことが 新鮮で面白かったです。政治的な策略とかまで想像が膨らんでいくので。 「春の軍隊」は、日常生活に突如現れた戦争空間を描くことで、 戦争の異様な状況をデフォルメして示します。 「召集令状」は、真相が、かなり怖いSF作品でした。 目の前の不思議な事実の真相だけでなく、歴史的な大きな話にまで 一気に発展していくところが不気味でした。 「お召し」は前に一度読んでいるのですが、 内容を忘れていたこともあり(苦笑)、改めて面白く読めました。 これら良質な短編の間に挟まって、ショート・ショート風「コップ一杯の戦争」が 良いアクセントになっています。
![]() |
||
コメント |
コメントの投稿 |
トラックバック |
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/4425-3714dc8e |
| メイン |
|