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『血の味』
- 2015/06/15(Mon) -
沢木耕太郎 『血の味』(新潮文庫)、読了。

沢木作品って、どうしても『深夜特急』の印象が強いので、
エッセイとかルポの人だと思ってしまうのですが、
本作は長編小説ということでチャレンジしてみました。

いやぁ、何だか凄い小説でした。引き込まれました。

中学三年生の主人公は、母と妹が出て行き、家には寡黙で本ばかり読んでいる父と二人きり。
学校では推薦入学を勝ち取れるほどの才能があった陸上を突然止め、教師には突っかかり叱られ。
銭湯で女装趣味の男に話しかけられたことで、嫌々ながらその男と交流ができ、
鬱々とした日々に変化が訪れるかと思いきや・・・・・・。

とにかく、主人公の心理描写が、淡々としながらも、
あぁ、中学三年生という年代の男の子ってこんな感じなのかな・・・・と
思えてしまうほど、説得力をもって感じられました。

彼の目から見た友人、教師、女装趣味の男、そして何もしゃべらない父。

一見、女装趣味の男に銭湯で言い寄られるという展開に
気色悪さを覚えてしまうのですが、しかし、本当に気味が悪いのは、この父親。

家族とは会話も無く、ただ黒い本を読んでいるだけ。
かつては精悍な男性だったような思わせぶりなくだりがあるだけに、
現在の残念な感じに陥ってしまったきっかけが気になります。

しかし、そこは、少年の目からは見えない部分。
読者にも見えない部分。

自分の家族にこんな人が居たら、耐えられないだろうなぁ。
いや、家族だからこそ、受け入れられてしまうのだろうか。
気づいときには、そんな父親だったら、それが普通になるのでしょうか。

事件の展開が、思っていなかった方向に行ったため、
中盤から読み止められなくなりました。

小説家としても、凄い人ですね。


血の味 (新潮文庫)血の味 (新潮文庫)
沢木 耕太郎

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