『蝶々の纏足・風葬の教室』
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- 2006/11/23(Thu) -
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山田詠美 『蝶々の纏足・風葬の教室』(新潮文庫)、読了。
一文一文は短く簡潔なのに、なぜこんなにも奥行きのある表現ができるのでしょうか。 「この短い文章の中に、この単語を入れてくるのか!?」 「しかもそれを受ける単語がこれ!?」 日本語を自由自在に扱い、自分の色を余すところ無く出し切る作家さん。 素晴らしい! 「蝶々の纏足」は、2人の少女の呪縛の関係を縛られた側の少女の目で描いた作品。 周囲の視線を集め続けてきた女の子の持つ残酷さが、 その少女の引き立て役として存在してきた主人公の目を通して 際立った表現で描かれています。 「山田詠美、恐るべし・・・」との余韻に浸りながら 次の「風葬の教室」に移りましたが、これにはしてやられました。 私の中での山田詠美作品No1の「ぼくは勉強ができない」を抜いて、 堂々の一位になりました。 主人公の醒めて大人びたキャラクター設定、 「学校でのいじめ」というまさに「今」を語る舞台設定、 「お友達の女の子達」という集団が漂わせる腐臭、 学校の先生が曝す視野の狭さと自分本位さ、 自由奔放に生きているように見えて主人公に大きな影響を与えている家族たち・・・。 子供は純粋でも天真爛漫でもなく、純に残酷なのです。 そして小学生ともなれば、その残酷さの表出を演技で隠す術を身に着けるのです。 大人になれば、残酷さを表に現すことさえしなくなるのです。 主人公の少女は、一足早く大人になったので、 自分の中で残酷さを昇華できるようになったのでしょう。 想像での処刑という方法で。 起承転結が見事なまでに出来上がっている作品でした。 また、いじめられている少女を「おでき」に譬える 山田詠美の観察力、洞察力、表現力は圧巻です。 短い作品の「こぎつねこん」は、 短いがゆえに、得体の知れない恐怖を、主人公とともに感じることができました。
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