『古道具 中野商店』
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- 2015/02/04(Wed) -
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川上弘美 『古道具 中野商店』(新潮文庫)、読了。
面白い小説でした。 古道具屋に出入りする登場人物たちの どこか世間とずれた立ち振る舞いの面白さもあるのですが、 それは、「古道具屋」という一風替わった舞台設定をした場合に、 ある程度予想できる範囲だと思います。 変な職業に就いている変な人たちというような。 しかし、この小説が面白いと感じたのは、 古道具屋という舞台にいながら、あんまり古道具屋という商売にスポットを当てているわけでは ないということです。 もちろん、舞台としての古道具屋の描写は、その様子が立ち上がってくるぐらい 活き活きとしていているのですが、ストーリーが、それほど古道具屋家業べったりではなく、 本当に、舞台装置として使っていますというような控えめな感じなんです。 結局、描いているのは、友情だったり、恋愛だったり、不倫だったり、失踪だったり。 どこにでもあるような人間関係を、じっくりと描いています。 古道具屋の話を書こうと思ったときに、古道具屋ならではの話にするのではなく、 人間関係を書こうとするには、結構な割りきりが必要なのではないかなと想像しました。 その割り切り加減が、「なんで、古道具屋でこんなストーリーを紡げるんだろう」という 私の驚きに繋がったのだと思います。 気づけば4年ぶりの川上作品だったのですが、 こりゃ、いいなぁ。
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