『企業原論』
- 2014/12/31(Wed) -
佐高信 『企業原論』(現代教養文庫)、読了。

学生時代、ゼミテンで佐高信大好き人間がいました。
その人の影響で、私も数冊読んでいたのですが、久々に佐高本をば。

人々が企業に対して抱いている違和感や不信感を明瞭に指弾しています。
なぜ、仕事だと言われると怪しいことや間違ったことまで実行に移せてしまうのか、
他人や社会に迷惑をかけることを気にしなくなるのか、
様々な局面での事象を述べています。

書かれた時期が古いので、内容としては、既に知っている事象ばかりというか、
昭和な感じの「過去の企業の姿」と思ってしまうようなものが多く、
今やこんな企業はない・・・・・という印象も受けます。

しかし、実態としては、露骨な企業の姿が批判された時代を経て、
今は、より狡猾に企業が行動するようになっただけであり、
むしろ昭和の頃よりも、根が深い問題になっているのかもしれません。
そして、それに気づかぬ人々は日本は良くなったと感じ、
気づいている人々は、より狡猾に人間や社会を使おうとする。
しかも、彼ら(私も含めて)の感覚は人間や社会を「恣意的に利用する」「悪用する」ではなく、
よりよい生活のために「活用する」「効果を高める」というものだと思います。
それが良いのか悪いのかは別として。

この本が出された当時は、まずは多くの人々にこのような実態を認識させる、意識させるという点で
非常に意味があったのだと思います。

一方で、企業というものを語るにおいては、
企業という組織、経営者という個人、経営陣という組織、従業員という個人、組合という組織など
組織と個人が複雑に絡み合っていることを正しく認識することが大事だと思います。
特に、日本企業という、責任所在のはっきりしない組織においては、
誰が誰の判断で何のために何をしたという事実認識自体が困難だったりします。
本作では、そのような企業の「構造」を明らかにするところにまでは至っておらず、
その点では物足りなさを感じてしまいました。

しかし、本作の意義は、事態を周知させることにあるとするのであれば、
その構造の分析は、別の機会に行うものなのでしょうね。

そして、著者の指摘を、どのように受け止め、理解し、自分の考えに反映させ、今後の行動に移すか、
それは読者それぞれに委ねられているのだとも思いました。


企業原論―ビジネス・エリートの意識革命 (現代教養文庫)企業原論―ビジネス・エリートの意識革命 (現代教養文庫)
佐高 信

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