『わらくば日記』
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- 2014/12/21(Sun) -
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朱川湊人 『わらくば日記』(角川文庫)、読了。
久々の朱川作品は、超能力系のお話。 人や物が持つ過去の記憶を見に行くことができる少女。 彼女の能力を、妹、友達、警察が頼ってきて・・・・・・。 このような特殊能力にありがちな、使いすぎると肉体的な害が大きいという設定は 全能性に対する制約条件としてイマイチだなぁ・・・・・と思っていたのですが、 物語の主眼が謎解きではなく、その場面に置かれた人間の心理状況を理解することにあるので 面白く読めました。 この特殊能力は、味付け程度の位置づけに上手く置かれていたと思います。 昭和30年頃の日本を舞台にし、 さらに主人公の姉妹が、貧しいながらもしつけの厳しい母に育てられ 「母さま」「姉さま」などと呼んでいるような古風な家庭です。 そのような味付けも、上手く生きているように感じました。 この母子家庭で、父親は遠くに居ることがちらりと述べられていますが、 「その話はまた今度」と言ったっきり本作では出てこなかったので、 既に相当長期のシリーズ化が決まっていたのでしょうかね。 父親問題が片付かなかったのが、ちょっとモヤモヤしています(苦笑)。 警察官の秦野くんは、少し残念なキャラクターに追いやられてしまいましたが、 母さま、茜ちゃん、本庁の神楽さん、村田のおばさん、クラさん等、 脇役たちも活き活きと作品の中で動いていて、楽しかったです。 続編も楽しみです。
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