東京大学公開講座
- 2014/11/16(Sun) -
『東京大学公開講座”恵み”』(2014年11月16日受講)

東大が開講している公開講座に初参加。
東大のキャンパスは広くて、重厚で、慎み深い活気があって、良いですね。

公開講座のテーマは、”恵み”ということで、
本日は、「人間社会」「太陽と植物」「食材としての生き物」という、
社会科学、自然科学、人文科学それぞれの視点で講義がありました。

講義① 人は人にとっての恵みか:人間の『社会性』をめぐる政治思想
法学政治学研究科の川出良枝教授による講義です。
受講の直接の動機はこの講義が面白そうだったから。
社会と個人の間の利害関係にどう折り合いを付けていくか・・・・というような話を期待したのですが、
実際の内容としては、アリストテレスからホッブズ、アダム・スミスといった人々が
どのような思想を主張したのかという教科書的な解説で終わってしまい、やや拍子抜け。

講義② 太陽光の恵み:農地と自然陸域生態系の光合成
「葉緑体」とか「気孔」とか、高校の生物の授業以来かもしれませんが、
FACE実験という、郊外で人為的に二酸化炭素濃度を増やした環境で
植物の育成状態がどうなるかを観察する実験が面白かったです。
美味しいコメの収穫量は大して変わらないのに、まずいコメは30%アップ(笑)。
美味しいおコメというのは、エネルギーが収穫量よりも美味しさの方に蓄積されるのでしょうね。
あと、言及があるかなぁと密かに期待していた温暖化問題ですが、
理化学研究科の寺島一郎教授は、CO2温暖化主因説を肯定的に捉え、
むしろ懐疑論者をまともな研究者ではないと斬って捨てる感じでした。
この分野の研究者である先生に聞きたかったのは、温暖化とCo2の因果関係の部分ではなく、
温暖化が人間社会に与える害と益をどう評価するのかという観点だったのですが・・・・・残念。

講義③ 民俗学から考える動物の恵みと供養 - 『殺す』ことは罪か?
東洋文化研究所の菅豊教授の講義は、ダークホース的な面白さでした。
学生時代も、空いた時間に民俗学とか比較文化論のような授業を取っていたのですが、
そのときの知的興奮が蘇ってきた感じです。
新潟県に伝わる、伝統的なサケ漁とエビス神信仰の関係を解きほぐし、
その裏側にある人間の「死の畏怖」「罪悪感」「社会的制約」などを見ていきます。
「動物の命を殺して食材を提供する仕事」に対して、最近の偏見是正の動きを踏まえつつ
それが新たな偏見に繋がっていくという構造は、フーコーの権力論を知ったときと
同じような印象を受けました。レヴィ=ストロースとか、もう1回ちゃんと読もうかな。

というわけで、期待以上だった部分もあれば、期待とは違っていた部分もありましたが、
なかなか楽しい講義でした。

驚いたのは、大教室に聴衆がぎっしり詰まっていたことと、
中高年の女性も結構いらっしゃったことです。
いつもの一橋OB向けの講座だと、女性は私1人という日もありますから(苦笑)。
これが、東大の層の厚さと、ブランドへの信頼感なのかと実感しました。


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