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『レヴォリューションNo.3』
- 2014/11/07(Fri) -
金城一紀 『レヴォリューションNo.3』(角川文庫)、読了。

新宿区にある、とあるオチコボレ男子校のハチャメチャ集団
ザ・ゾンビーズが繰り広げる冒険活劇!

近所のお嬢様高校の文化祭はチケット制。
そこにお呼びのかからないオチコボレが参加するには、
「出前作戦」か、はたまた「ええじゃないか作戦」か、
とにかく奇想天外な展開で先生の正門警備を突破するしかない!

「ええじゃないか作戦」だけでも、十分、面白いお話になりそうなのに、
そこは、昨年の出来事としてさらっと書き終えてしまい、
今年の作戦をどうするかに行を費やすという、
なかなか太っ腹なネタの使い方が、却って気持ちよかったり。

最初、オチコボレ高校という舞台設定と、
ザ・ゾンビーズの作戦を練り、集団を統率し、鼓舞する主人公や、
刑法を滔々と解説できる友人、教室で西田幾多郎を読んでいる友人といった
頭の良い面々のキャラクターとがミスマッチな印象を受けたのですが、
それぞれのバックグラウンドが分かるにつれて、物語に馴染んできました。
逆に、彼らの斜に構えた世界の捉え方が興味深く思えました。

重い病気に罹り、みんなの前では気丈に振舞いながらも主人公には弱気な面を見せる友人や
とにかく神がかり的な引きの悪さで周囲を和ませる友人など
脇役たちも素敵な面々です。

彼ら個々人が抱える問題をどう解決し、
乗り越えていくかというテーマもありますし、

僕たちの育った時代に、ベトナム戦争とか学生運動みたいに分かりやすいことがあったら、
わざわざ理由なんて説明しなくて済むんですけどね。

というように、世代として抱えている悩みもあり、この2行には、私も大きくうなずきました。
世代としての共通の体験がないということは、結構、空洞感を覚えます。

本作の主人公は、「トラブルに首を突っ込む」という形で、
この空洞な感覚を埋めようとしてますが、自分も、仲間とバカ騒ぎをするという形で
埋めようとしているのかなぁと思ってしまいます。
なかなか解決が難しい問題なのです。


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金城 一紀

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