『失敗は予測できる』
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- 2014/10/28(Tue) -
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中尾政之 『失敗は予測できる』(光文社新書)、読了。
失敗学の畑村先生のお弟子さんの本。 失敗に人類初のものはない。 何かしら過去に類似の失敗事例がある。 過去の事例をきちんと分析して手を打てば、失敗は防げる・・・・・という趣旨です。 これは、その通りだと思います。 本作でも、様々な事故の事例を挙げて、 何が本質的な原因なのか、それは、その事例に特徴的な要素だったのか普遍的なものなのか、 それを防ぐために、何か良い方法が施されている他での事例はないのか、 それは今回の失敗の再発防止にも使えるのか。 そんな観点で、具体的な事象の解説が続きます。 ただ、一企業人としてこの問題を考えてみると、 リスク防止にかけるコストと、防止効果の天秤の問題が出てきます。 確かに、過去の事例研究を十分に行い、再発しないように徹底的に対策を講じれば 失敗というものが発生する可能性はぐっと減らせると思います。 しかし、それに、どれだけの体力と時間とコストを投じるかという経営判断において 有効な判断指標があるのかが、良く分かりませんでした。 私の会社では、以前は品質管理を担う専任部署はありませんでした。 しかし、事務ミスが多発した時期があり、現場担当役員の号令で組織が作られ、 今は5人の専任部員が居ます。 ミスを起こした部署に出向いていき、再発防止策の検討や指導を行っています。 その後、事務ミスは一定レベルまで減りましたが、ゼロにはなっていません。 これをゼロにするために、それでは、この品質管理の専任部署を50人体制にして 彼らに直接日々の業務現場に派遣して逐一点検をさせるべきかというと、 ま、普通の会社では、こんなリソースの投入の仕方はしないでしょう。 どこかで、費用対効果の線引きをしているはずです。 それこそが経営判断なんだと言ってしまえばそれで終わりですが、 何か、失敗学をやっている立場から、この判断軸のようなものを示してもらえると 考える参考になるのになぁと思ってしまいました。
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