『フルハウス』
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- 2006/10/28(Sat) -
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柳美里 『フルハウス』(文春文庫)、読了。
初めてこの方の作品に触れました。 訴訟問題等、ニュースになっている面の印象が強かったので、 これまで何となく遠ざけてしまっていたのですが、 本作は裏表紙に「家族の不在をコミカルに描いた」とあったので、 読んでみました。 ところが・・・ 読後感は、「重い」「不気味」「しんどい」でした。 冷静な文章で綴られているので、 地に足が着いた世界が描かれているのですが、 突如、平穏な生活には違和感のある瞬間が登場してきます。 「きみに性的虐待はしていない」と不意に娘に言い訳する父親、 肩を掴んで話しかけてくるジョギングの男、 テレホンショッピングの商品を薦める電話を架けてくる不倫相手の妻・・・。 この異様な瞬間も、同じく冷静な文章で描かれていて、 こちらも読み進めてしまうのですが、 その場面を想像すると、なんともいえない不安な心持ちになります。 滑稽さが狂気を増大させているような。 凄い才能を持った作家さんだと実感しましたが、 今後、自分が彼女の作品を読んでいけるかは、正直なところわかりません。
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