FC2ブログ
『あるキング』
- 2014/09/15(Mon) -
伊坂幸太郎 『あるキング』(徳間文庫)、読了。

昨夜、眠気が全然やって来てくれず、
仕方なく本作を手にとって、結果的に一気読み・・・・・。
サクサク読めたのは確かですが、眠れないほど面白かったのかというと因果関係は逆で、
眠れなかったから最後まで読めちゃった、という感じです。
結果、夜3時半就寝。

仙醍市に本拠を置く万年最下位チームの熱狂的なファンの両親のもとに生まれてきた主人公。
幼い頃から両親の指導(もしくは監視)のもとで、野球漬けの日々を送り、
小学生にしてプロ野球投手の球をホームランにするという異様な成長を遂げる・・・・。

前半は、両親の偏ったモノの考えが気持ち悪くて、
不快な気持ちが抑えられない読書となりました。

『マクベス』を題材にして、
「きれいは汚い、汚いはきれい」という矛盾する価値観を様々な現実の局面で提示し、
「常識と思っていることは、必ずしも普遍的な価値観ではない」というようなことを
言おうとしていたのではないかと推測しますが、
私としては、「社会的にダメなものはダメだろー!」と反感を持ってしまいました。

確かに、価値観を制限するような「常識」のありようは、
人間の思考を窮屈にする面もあると思いますが、
一方で、安心・安全な社会を維持するためには、ある程度の枠組みを必要とするのも事実。
私からすると、主人公の両親の思考や行動は、社会を破壊する異分子としての
要素が強すぎて、危険人物にしか思えませんでした。
共感の余地なし。

その両親に育てられた主人公も、前半では、かなりアンバランスな発育を見せており、
情緒面や社会性の面で、いろんな欠落を感じさせるため、
非常に可哀想に感じてしまいました。
人間として様々なものを失って得たものが野球の打者としての才能「だけ」だなんて・・・・と。

後半は、なぜか主人公が、成長とともに社会性をきちんと身につけるようになっていたため
(誰が教育したんだろう?とやや疑問な展開でした)
不快感は覚えずに、面白く読むことが出来ました。
でも、反対に、「きれいは汚い」を映し出す場面がぼんやりとしてしまった感もあり
物足りなさも覚えました。

著者が伝えたかったことが、読む側にきちんと伝わっているのだろうかと、
心配になってしまう作品でした。


あるキング (徳間文庫)あるキング (徳間文庫)
伊坂 幸太郎

徳間書店 2012-08-03
売り上げランキング : 96038

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

マクベス (岩波文庫)マクベス (岩波文庫)
シェイクスピア SHAKESPEARE

岩波書店 1997-09-16
売り上げランキング : 125357

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

関連記事
この記事のURL |  伊坂幸太郎 | CM(2) | TB(0) | ▲ top
<<『空白の桶狭間』 | メイン | 『ケースで学ぶ起業戦略』>>
コメント
-こんばんは♪-
トラックバックを有難うございました

フアンとしてはちょっと異常すぎるとも思える山田夫婦

それが「ある宿命」を背負って生まれてきた人間に課せられた枷としてもー


両親の愛情はその子供の可能性を狭め むしろ妨害する結果となる

著者が「マクベス」を念頭においていたことで 何やら呪われた輪廻転生の物語のようにも受け取れますね

才能も努力も水泡に帰して終わる いくら生まれ変わろうとも
2015/06/14 00:44  | URL | 夢見 #lWC87vgE[ 編集] |  ▲ top

--
夢見さま

こんばんは。CMありがとうございます!

ちょっと解釈が難しい本でした。
私の場合は、感覚的な嫌悪感が先に立ってしまったような感じで・・・。

『マクベス』について知っていれば、もう少し柔軟な受け止め方ができたのかもしれません。


2015/06/14 01:49  | URL | かもめ組 #obYDgEv2[ 編集] |  ▲ top


コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://seagullgroup.blog18.fc2.com/tb.php/4032-594d3119
| メイン |