『論争する宇宙』
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- 2014/08/29(Fri) -
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吉井譲 『論争する宇宙』(集英社新書)、読了。
お天気が好きな人は、地学つながりで、宇宙のことも好きな人が多いです。 本作は、気象予報士仲間の方に教えていただきました。 しかし私は天文学が苦手(爆)。 私の興味関心を突き詰めると、 「私という人間は何の力に支配されているのか」ということに尽きると、最近気づきました。 だから生活を支配する気象や政治や経営について興味があります。 また、構造主義やエリート論に興味があるのもそのせいだと思います。 一方で、宇宙というのは、私にとっては想像の範囲外。 自分との接点を見出すことが難しいテーマなんです。 唯一の例外が太陽。太陽は直接、人間社会に影響を及ぼすので興味深々です。 月は、かろうじて・・・・。 そこから先の宇宙は、私にとっては、ただの遠い空間に過ぎません。 こんな門外漢な状態からスタートした読書でしたが、 天文学という枠に留まらない、自然科学の面白さに触れることができました。 まずはハッブルの法則「遠い銀河の後退速度=ハッブル定数×距離」。 なんて、シンプルな式なのでしょう! 宇宙が膨張していることが、たった一つの乗算で表されるなんて。 物理学に恐ろしさを感じるのは、こういう極限のシンプルな法則に触れるときです。 そして、宇宙背景放射の発見のストーリー。 プリンストン大学で観測をしていたグループと、人工衛星アンテナの研究をしていた民間企業技術者。 別の角度から、異なる目的で研究を行っていたのに、 偶然にも接点ができ、ぞれぞれの研究成果の相互作用でお互いの問題が解決し、 しかも学術的に大きな成果を挙げられる。この偶然の面白さも奇跡的です。 1840年に出された「夜空が暗いのはなぜだろう」という疑問に対して、 160年後に観測により答えを導き出そうとするその時間感覚。 哲学的な問いが、最先端の科学によって解き明かされることも興味深いです。 天文学そのものの知識は、結局、あまり理解できないままでしたが、 研究者の皆さんが、なぜ自然科学の分野に熱中するのか、 その理由に触れることのできる読書となりました。
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