『最後の相場師』
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- 2014/08/28(Thu) -
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津本陽 『最後の相場師』(角川文庫)、読了。
株式取引が電子化される前の、 アナログな激しいやり取りが展開するのかと思いきや、 意外と、淡々とした筆致で物語は進んでいきます。 それは、主人公の佐久間平蔵が、 「自分は相場師ではなく、経済学を実践する人間だ」という趣旨のことを述べているように いわゆる相場師のイメージとは違っているからだと思います。 大きな資産を持っていても、老妻と2人でつつましく質素に生きる毎日。 投資の仕方も、「どうやったら儲けられるか」ということよりも 「自分の眼力が正しいことをどうやって証明するか」の方を重視しているかのようです。 だから、分散投資のリスクヘッジは行わず、これだ!と決めた銘柄に全力投資です。 小説として見たときに、この異色の主人公に惹かれる人も多いかもしれませんが、 私は、1人の人間としてのキャラクターがまとまっていないように思えてしまいました。 場面によって、異なる人格が動いているように感じてしまうのです。 お金を持つこと、お金を使うことに執着心がないのに、 なぜ、これほどまでに、日本一の相場師になることに拘るのか、 主人公の中の、動と静、もしくは緩と急が、私にはよく掴めませんでした。 実在の人物をモデルにした小説のようですが、 城山作品の方が小説としてのワクワク感がありますね。
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